(25ページ) 「地中の種を想像する」 クラフト工房ラマノから綿の種が届き「綿のある暮らし」がはじまった。芽が出るかどうか分からない地中の種を想像する時間は、「待つ」ことを楽しみに変えた。同じ日に植えても差ができた成長は、「違い」を個性に変えた。 夜に葉を下ろし眠る姿には驚かされ、 「あたりまえ」 を発見に変えた。 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 五十嵐靖晃(アーティスト) 『手のプロジェクト 2020年211日間の記録』より 2021年3月24日 (26ページ) 「情報の一方通行」 「アクセシビリティ」と聞いて、まずは私たち聞こえない人は、手話通訳、文字通訳などのなじみ深いイメージを思い浮かべます。ですが、それらはほとんどが「情報の一方通行」、つまり聞こえない人が情報の受け手というパターンというのが実情です。 「情報」というものは、受けるものも、発信するものもあるはずで、聞こえない人が積極的に情報を発信すること、また容易に発信できたり、効率的に伝わるようにする環境整備もまた「アクセシビリティ」ではないかと考えています。 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 小笠原新也(徳島県立近代美術館アートイベントサポーター/手話マップメンバー) TURNフェス6の振り返りメールより 2021年8月26日 (27ページ) 「完璧さはそれぞれ異なる」 全てを網羅して完璧にするということは難しく、またその完璧さはそれぞれ異なると思います。置かれている状況や一緒に活動する人たちと、どういう形だったらベストが尽くせるのか、どこまでを伝えていく形にするのかという議論やコミュニケーションを取ってみんなで考え、その中の一つを実践していくという積み重ねが、また次につながっていくのかなと思いました。 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - はたまりあ(アーツカウンシル東京職員) 第14 回TURNミーティングより 2021年8月17日 (28ページ) 「福祉とアートは似ているか」 TURNの活動を始めて一年目ぐらいの時に、「福祉とアートは似ているか」みたいな話をしたことがあって。その話をする前は、アートってかっこいいっていうだけで漠然としていて、似ているかなんて考えたこともなかったんですけれども、ちょっと考えてみたんですね。で、その時「似てるな」と思って。答えがないものというか、人と関わるというところが大きな共通点だと思うんですけれども、発見が多いじゃないですか。あといろんな視点をもてるんですよね。その人のもっているものが発見されたり。答えは出ないんだけれども、それについてすごく深く話し合ってみたり。そういうところが似ているな、と思ったのと「感度に触れる」って言うんですかね。心の感情の「感」のところに触れてくるものとして、似てるって思ったんですよね。 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 高田のりこ(板橋区立小茂根福祉園職員) 田村ひろし(らくだスタジオ)によるインタビューより 2021年6月25日 (29ページ) 「思考停止してしまわないように」 創造力は生命力だと思います。何らかの緊急事態の時に、社会の既存の枠組みの中に幽閉され、思考停止してしまわないように、常に鍛えていたいもの。 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - やはたあき(アーティスト) 『TURN JOURNAL SPRING 2021−イシュー 07』より 2021年3月19日 (30ページ) 「物があるということが、とても大事」 よくエコーロケーションという、自分で音を立てて、その反響音で一人で単独歩行しますよ、というような(視覚障害をもつ)方もいらっしゃいます。あと反響、反射というのを活用している方は多くて、例えばビルの谷間を歩いていても、自分のはくじょうの音の響きで横に建物があるんだとか、風の流れの変化で路地に入ったとかというのがわかるっていう人は少なくないですね。そうすると何か物があるということが、とても大事なことで、何もないだだっ広い野原とかの場所では、その空間をどのぐらい正確に把握できるのかなという難しさがあるかなと思いますね。 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 三科聡子(宮城教育大学教育学部准教授) 第8回TURNラボ研究会より 2021年2月15日 (31ページ) 「ゆっくり弱さを育てる」 割り切れない世界をふわふわしながらも大きな言葉に流されないために、見えない世界を想像してみてください。 そうやってゆっくり弱さを育てることで、「あたま」と「からだ」をつなぐための土壌となる「こころ」ができていくと思います。丁寧に養われた土壌をつくるには少し時間はかかるかもしれないけれど、きっとあなたにとって切実な創造力を生み出してくれると思います。 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 青木あきら(インディペンデント・キュレーター) 『TURN JOURNAL SPRING 2021−イシュー 07』より 2021年3月19日 (32ページ) 「世界を自分に取り戻せ」 世界を自分に取り戻せ - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - TDU・てきせんだいがく 松本力(アーティスト) TURNフェス6:東京都美術館 映画上映ハンドアウトより 2021年8月18日