「本テキストをご利用の皆様へ」 本テキストは、読み上げ機能を使用して読書されるかたを対象に作成しています。 読み上げ機能で文意がなるべく正しく読まれるよう、カタカナや平仮名に変換する等、書籍の表記より一部変更や加筆を行っています。 本テキストでは、書籍に掲載している写真及び図の情報以外の文章を収録しています。 書籍のレイアウトPDFをご希望の方は、TURN公式ウェブサイトの「成果ぶつ」ページにてご覧ください。 (表紙) ターン・ジャーナル スプリング二千二十 イシュー ハチ ターンの軌跡とそこからひろがる世界 -------------- (テキスト初出 3ページ) はじめに 二千十五年に始動した本事業は、複数年間の継続を視野に、日本における新しいダイバーシティの試みを国内外へ発信する「ターン」として、その考え方、仕組み、活動の場を後世に継承していくという壮大な構想のもとで走り出しました。東京都の文化事業として、アーティストや福祉施設、地域の団体の参加者と協働しながら活動を展開していくにあたり、様々な立場の人たちの思いとともに推進してきました。 「東京二千二十オリンピック・パラリンピック」が開催される二千二十年までの実施を予定していましたが、新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響により、事業を1年間延長して展開することに。1年目の構想から、様々な社会の動向に応じて、事業は変化していきました。7年の月日のなかで何が育まれ、未来へつないでいくのか。可視的な事柄から不可視なものまで、その軌跡と蓄積を共有することを目指して本書を構成しています。 第1部では、これまでの活動情報をまとめ、各年度の動向や気運を記録しています。福祉やアートプロジェクト、多様性や社会的包摂などにかかわる研究者や専門家、一般の方々がターンの活動を振り返り、プロジェクトを実施するときや考察する際の一助になればと考えました。第2部では、ターンの関係者の言葉を通して、これまでの経験を振り返るとともに、今後の活動を展望していきます。 思い返せば、事業の開始当初は、直ぐにプログラムを企画し実践していくのではなく、表現やアート、地域にかかわる福祉施設や団体スタッフの日常のなかから生まれてきた疑問や課題を共有し、お互いの状況を「きく」・「しる」ことからスタートしました。「どちらかといえばルールに則る“福祉”と、自由な“アート”の相性は良くないのではないか」「アートの現場をつくるのは大変なことで、誰もができるわけではない」……。様々な声が共有されるなかで、実践を重ねていくと、それぞれが抱いていた感情や考えに変化(ターン)が生まれていきました。これらを背景に、「出会う」・「集まる」・「ひらく」・「考える」・「伝える」の循環を目指した枠組みが事業構造として明確になっていったのです。 大きな一歩からではなく、小さな一つひとつの変化と展開。そうした萌芽に出会えるかもしれない。そのような気持ちで、本書を手に取っていただければ幸いです。 -------------- (4ページ) 事業概要 ターンとは、障害の有無、世代、性、国籍、住環境などの背景や習慣の違いを超えた多様な人々の出会いによる相互作用を、表現として生み出すアートプロジェクトの総称です。これまでに約80名のアーティスト、約60の施設や団体が参加しています。 二千十五年、「東京二千二十オリンピック・パラリンピック」の文化プログラムを先導する東京都のリーディングプロジェクトのひとつとして始動したのち、二千十七年度より、東京二千二十公認文化オリンピアードとして展開。二千二十一年度は、東京二千二十NIPPONフェスティバル共催プログラムとして実施しました。 -------------- (5ページ) ターンを創り出すプログラム アーティストが、福祉施設や社会的支援を必要とする人々のコミュニティへ赴き、出会いと共働活動を重ねる「ターン交流プログラム」と、ターンの活動が日常的に実践される場を地域につくり出す「ターン・ランド」を基本に据え、「ターン・ミーティング」と「ターン・フェス」の開催によって広くその意義を発信します。さらに、それらの活動を伝えるメディアとして「ターン・ジャーナル」を刊行しています。 ターン交流プログラム アーティストと、福祉施設や社会的支援を必要とする人々が時間を重ねて交流し、共働活動するプログラム。また、アーティストによる、社会や日常で意識化されていない課題への気づきを目的としたリサーチも行います。 ターン・ランド 福祉施設や団体が、アーティストと共に参加型のプログラムを企画します。それぞれの場所の持つ従来の機能に、地域に開かれた文化施設としての役割が加わり、住民や市民が集い、ターンを日常的に実践する場をつくります。 ターン・フェス 「ターン交流プログラム」や「ターン・ランド」を実施する、多様なアーティストや交流先の活動が一堂に集まるフェスティバル。作品展示やワークショップ、トークイベント、オリジナルプログラムなど様々なコンテンツを通じてターンを体感する場をつくり出します。 ターン・ミーティング ターンの可能性を共有し、語り、考え合う場。参加アーティストや交流先などの関係者と共に、各分野で活躍するスペシャルゲストを招き、様々な視点からターンを考察します。 ターン・ジャーナル ターンにかかわる活動や人々から生まれた多様な観点や、表現、思考などを集め、そこから広がる豊かな世界を、紙媒体や公式ウェブサイト上で発信しています。 海外展開 国内外の文化芸術機関などと連携し、海外でもターンを実施。参加アーティストが各国で伝統的な技術や所作を携えて福祉施設やコミュニティなどと交流し、その経験をもとに展示やワークショップ、パフォーマンスを展開します。 ターン事業 主催者の変遷 【二千十五から二千十七年度】 東京都、 公益財団法人東京都歴史文化財団アーツカウンシル東京、 特定非営利活動法人アーツ・エンブレイス (二千十六年度「ターン・イン・ブラジル」は、 東京都、 公益財団法人東京都歴史文化財団アーツカウンシル東京) 【二千十八から二千二十一年度】 東京都、 公益財団法人東京都歴史文化財団アーツカウンシル東京、 特定非営利活動法人アーツ・エンブレイス、 国立大学法人東京芸術大学 -------------- (6ページ) 目次 3ページより はじめに 4ページより 事業概要 9ページより 第1部「ターン 7年間の軌跡 二千十五から二千二十一年度」 15ページより 二千十五年度 18ページより 二千十六年度 27ページより 二千十七年度 32ページより 二千十八年度 40ページより 二千十九年度    48ページより 海外展開:二千十七から二千十九年度 55ページより 二千二十年度 58ページより 二千二十一年度 62ページより 海外展開:二千二十から二千二十一年度 66ページより ターンの発行物 -------------- (7ページ) 75ページより 第2部「ターンからひろがる世界」 78ページ 対談「ターンのターニングポイントと、未来へ受け継いでいくレガシー」  ヒビノカツヒコ[ターン監修者]かける モリツカサ[ターンプロジェクトディレクター] 96ページより コラム 「アクセシビリティ・プログラムの試み」 98ページより コラム 「サポーターの声」 100ページより 座談会「ターン・ランドで得たもの、これからのこと」 シンザワカツノリ[ハーモニー施設長]、タカダノリコ[板橋区立小茂根福祉園職員]、タカノケンジ[クラフト工房ラマノ施設長] 110ページより 表現としての手話と「協働」の可能性 ──「オンライン・ターン・ミーティング」の制作現場が教えてくれたこと ハタマリア[アーツカウンシル東京] 120ページより アーティストの言葉──ターンの先を見つめて 121ページより イガラシヤスアキ「青く澄んだ四角い海を泳ぐ2匹の鯛」 124ページより イセカツヤ「物語ること」 127ページより イワタトモコ「「地面」好きが、TURNという「海」を泳ぐ」 129ページより ナガオカダイスケ「歌と世界」 132ページより 編集後記 -------------- (8ページ) 白紙ページ