(132ページ) 編集後記  本書の制作にあたり、ターンの変遷を辿るために様々な資料に目を通していくと、この7年間、実に多彩な人たちとの出会いとともに、ひとりひとりの思いや期待、それぞれ異なる協働によって、今のターンが構築されてきたことに改めて感じ入り、胸が熱くなる日々となりました。これまで活動を共にしてくださった関係者の皆様、そしてターンの意義に賛同し、後世に伝える記録として、膨大で複雑な本書のまとめに尽力いただいた編集者やデザイナーをはじめとする関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。  今回実施した対談や座談会、寄稿からも、新たな気づきがたくさんありました。活動への携わり方やそこから生まれる喜びや悩みなどを、関係者同士が共有することで、ターンの意義を改めて確認し合う機会にもなりました。それぞれの知見や蓄積してきた経験値を共有できる今だからこそ、これからも協働できること、そして次なる展開の可能性を実感することができました。  「出会い」を経験していくと、未知なる世界がたくさんあることに気づかされます。ターンのキーワードとして掲げてきた「多様性のある社会」の姿をこれからも追求していくにあたり、どのような出会いを重ねていけばよいのでしょうか。物理的な出会いのみならず、「想像」に大きなヒントがあるようにも思います。  アラスカの大自然に生きる動物や人々を撮影し続けた探検家のホシノミチオ氏は、「生物の多様性」と「人の暮らしの多様性」が、人が生きていくうえで大切だと記しています(※1:出典)。 ホシノ氏は、いろいろな生物が生きている多様性と、様々な価値観で生きている、あるいは様々な土地で生きている、人の暮らしの多様性を知ることで、少し違った角度で自身を見られることを語っています。そして「オオカミが一匹もいなくなった世界と、実際に見ることはできないけれどもどこかに確実にオオカミがいる世界というのは、全然違うことなんです」と述べているように、実際に会うことがなくても、想像することで広がる世界認識の大切さも示唆しています。  ターンの活動のなかだけでも多くの人々の存在があり、実際に出会えた人は限られているかもしれません。ただ、直接的に関係していなくても、様々な形で異なる他者がいるということを知るだけで、自身が認識していた社会の多様さとその奥行きがグッと広がるような気がしています。 (執筆:ハタマリア) ※1:出典「ホシノミチオ『魔法の言葉―自然と旅を語る』ぶんしゅん文庫、二千十年、115ページ)」 (134ページ) 奥付 [写真クレジット] 「いけのやゆか(ゆかい)」──p12上, p13上 「伊藤友二」 ────────p23下, p28, p31, p97上・中 「おおかわらあさ子」 ────p51上, p105 「小野ななこ」 ───────p67―74 「加藤はじめ」 ──────────p43, p62, p110 「金川しんご」 ────────p41, p78, p87, p100, p107, p108, p114 「川瀬かずえ」 ────────p95左 「川島あやみ」 ────────p26下 「工藤ゆか」 ────────p52上 「鈴木竜一朗」 ───────p46, p52下, p56, p112, p113, p118 「ただ(ゆかい)」──────p11下, p91 「冨田りょうへい」 ────────p13下, p14上, p19, p23上, p24上(映像から抜粋)下, p25, p26上, p33, p34, p39, p53, p54, p58, p97下, p103 「野口翔平」 ────────p106 「Ding Musa」 ───────p130 「UNTREF MEDIA」 ───p48 ※クレジットのないものは、スタッフ関係者ほか提供。 主催=東京都/公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京/    特定非営利活動法人アーツ・エンブレイス/国立大学法人東京芸術大学 監修=日比野克彦[アーティスト/東京芸術大学美術学部長・先端芸術表現科教授] プロジェクトディレクター=森 つかさ[アーツカウンシル東京 事業推進室 事業調整課長] ターン・ジャーナル・スプリング 二千二十二− イシュー 08 2022年2月16日発行 監 修=森 つかさ[アーツカウンシル東京] 編 集=永峰美佳     菊地ななみ     はた・まりあ[アーツカウンシル東京]     田村ゆき[特定非営利活動法人アーツ・エンブレイス] デザイン=星野哲也 印 刷=さんえい印刷株式会社 発 行=公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京     〒102-0073 東京都千代田区九段北4-1-28 九段ファーストプレイス8階     電話. 03-6256-8435/ファックス. 03-6256-8829 「All rights reserved:2022 Arts Council Tokyo, Tokyo Metropolitan Foundation for History and Culture」 ターン公式ウェブサイト turn-project.com