こどものその
こどものその
「こどものその」は知的障害のある人々が共に暮らし、さまざまな活動に取り組む施設である。敷地内には、目的別の建物が点在していて、建物間の移動に車を利用し、門から本部の玄関まで10分もかかるほど、広大な施設となっている。
施設の歴史は古く、1958年、日伯寺初代総監の長谷川良信が創設に尽力した。当時、周囲の要請を受けて日伯寺学園内に施設の前身である「日伯寺学園治療教育部」を設置し、13人の精神薄弱児と孤児の養護を始めた。その後、土地の寄贈を受け、現在の場所にこどものそのを開園。ブラジルにおける全寮制の障害児施設として、初めての認定を受けた施設になった。
開園当初は子供を受け入れ、家庭や社会に復帰する目的で運営されていたが、徐々に入所者、退所者がともに減少。現在ではこどものそので成長した成人72人の、生活の場となっている。
こどものそのには、創設者である長谷川良信の「彼らのためではなく、彼らと共に」の理念がいまも息づいており、入所者の活動に反映されている。手芸や陶芸の作品から野菜や有機肥料まで、活動の一環としてつくられるものは、バザーなどで販売。収益が施設の運営の柱を担うなど、入所者が主体となるような運営がなされている。特に年に1度開催される「こどものそのフェスティバル」には1万5000人以上の来場者があり、施設運営費の1~2ヵ月分を賄っている。