Photo: Rafael Salvador

PIPA

ぴっぱ

PIPAは2016年にブラジル・サンパウロに設立された、5~15歳くらいまでの40人の自閉症の子供と20人の専門家スタッフと親の会からなる「自閉症児療育施設」である。専門家スタッフの半数は心理学者、そのほか理学療法士や体育指導員などで構成されており、教育者はいない。毎朝、専門家がディスカッションを行い、療育による子供たちの日々の変化や効果についてのふりかえりを行い、その内容がその日の対応に反映される。療法は「病気」を治療するものではなく、子供の学びがより発展できるように、励ましを与えることを目的としており、投薬治療中心のブラジルでは非常にめずらしい実践と言える。
PIPAが産声をあげたのは、2006年。自閉症児を持つ親が、療育の専門家である三枝たか子の講演を聞いて感銘を受け、奔走の末にサンパウロ市内のお寺で「青空学級」としてスタートした。はじめこそ自閉症児4人という小規模な教室だったが、その後、日伯援護協会(ENKYO)が指導員の給与を負担する形で協力を開始。場所を変え、利用者も増えていった。現在、ブラジル保健省管轄下で国家統一医療システムを通じて療育を無料で行っており、今後はPIPAの実践を全国へ広めようという動きもある。
療育方針としては、体を動かして心のバランスを保つことが基本。朝のランニングにはじまり、音楽や、障害物競走、ホッピングなど、身体を使うプログラムが多数用意されている。また、親との密な連携がPIPAの特徴で、子供との向き合い方を指導し、親子に課題を出すなどして、家族が一丸となって取り組むことを重視している。