活動日誌

第3回TURNサポーター勉強会「つながりのつくり方」開催レポート

2020.10.26

TURN運営スタッフ

TURNの活動を多くの人へ豊かに届けることを目指すTURNサポーター。今年は「TURNサポーター勉強会」として、コロナ禍の状況を踏まえながら、8月から毎月TURNの活動やプロジェクトをサポートする際の知識と技術、より包括的なアクセシビリティ等を学ぶ場を開いています。

今回の勉強会のテーマは「つながりのつくり方」。福島県耶麻郡猪苗代町にある「はじまりの美術館」館長の岡部兼芳さんと、学芸員の大政愛さんを講師にお迎えし、福祉の現場と人、地域を表現でつなぐ美術館のあり方とその魅力の伝え方について学びました。

はじまりの美術館のコンセプトについて説明する岡部さん(写真右下)と手話通訳者(右上)

「はじまりの美術館」の運営母体である社会福祉法人安積愛育園は、設立から約50年にわたり主に知的に障害を持つ人の支援を行っています。福祉施設で日々生み出される面白いものやストーリーを届けたいという思いから、2014年に築約140年の酒蔵「十八間蔵」を改修して美術館をスタート。テーマに合わせて障害のある作家とアーティストの作品を一緒に展示する企画展や、地域の人とともにイベントを実施しています。

はじまりの美術館における表現に関わる人たちを紹介する大政さん(写真右下)と手話通訳者(右上)

「はじまりの美術館」は作品をアーカイブしたり、その魅力を発信したりする役割を担っていますが、最初に作品の魅力を発見するのは、福祉施設の支援員や家族の方だと、岡部さんは言います。施設の支援員や家族が面白いと感じたものを美術館に展示することで、見に来た人の目に留まり、今度はその作品をつくった人が気になって…という、面白いと感じたことやものをきっかけに、コミュニティの繋がりが生まれているそうです。

勉強会の後半では、異なる背景や関心をもつ人へ自分自身が感じる魅力を伝えるというテーマでグループワークを実施。金銭的な価値は高くないが「なぜか捨てられないもの」を持ち寄り、参加者が3人1組となり、1人がものを紹介し、もう1人が「なぜ捨てられないのか」をインタビュー。最後の1人は2人の会話を聞いて言葉にまとめるというワークを行いました。このワークは、はじまりの美術館で実際に行われている、メンバー/支援者・家族/美術館スタッフの関係性を模倣したワークでした。

「なぜか捨てられないもの」の中には「子供がつくった粘土細工」「高校生の時にお父さんに買ってもらった時計」などがあり、このワークを通してサポーターからは、「同じ体験でもさまざまな角度や感じ方をとおして豊かになるのだと思いました」といった感想が寄せられ、「伝えること」や「つなげること」について、考える機会となりました。

最後に大政さんからTURNサポーターに対して「いいと思ったものをいいと言っていかないと、大切なものって残っていかないですよね。それってものだけじゃなくって、文化にも言えることで。一般のお客さんの近くで活動されているサポーターの皆さんが、自分がいいな、面白いなと思われたものをご自身の言葉で伝えていくことで、TURNの活動って豊かで楽しいものになっていくんだろうなと思います」と言葉をくださいました。

「なぜか捨てられないもの」やそれにまつわるエピソードを参加者とともに共有している様子
© Arts Council Tokyo