活動日誌

公園だけど野山のよう

2017.2.13

岩田とも子アーティスト

富士清掃サービスのメンバーと公園へ。小さな事柄が彼らの会話の中で随分と大きなことのように広がったりする。加えて、公園のちょっとした小道や広場にはそれぞれ名前がついていてそれを共有しながら会話が進む。そんな会話につられ、公園にいたのに私は延々と続く野山(どちかといえば谷か。)にでもきたような気持ちになった。※実際、自然観察園を併設していたりして結構大きい。

バスが通る道路の横に大きくくり抜いたような地面があってよくみると下のほうにはグラウンドや散策路がみえる。その窪み全体が忠生公園だ。中央の斜面は雑木林になっていて高い地面のところに遊具のある広場があってそこに入口の一つがあった。まだ目につく草花も少ないが入口付近に蝋梅園があって少しだけ香りが漂っている。私がキョロキョロとよそ見している間に富士清掃のメンバーは早々と道をゆく。道の先にある秘密基地の入口のような扉が開くとそこにはちょっとした傾斜地があって道具などは主にそこで管理されている。メンバーは清掃の装備と道具を携えて担当の場所にそれぞれ静かに散って行った。

清掃活動の間、初めて同行した私を案内してくれたのは 川幡さん。 清掃のメンバーと少し離れた場所から、ここでの日々について、またここでの清掃の仕事がメンバーの方にとってどんな時間となり得るのか、実際どのような関わり方をされているのかなどお話を聞いたり。滞在したのは途中の休憩まで。その間に見たことや聞いたことをメモしておくことにする。

・二つのトイレ
一つは陽の当たる広場に面した場所、もう一つはやや降ったところにある小さな丘を背にしたところにある。ちょっとした陽の陰りの違いなのだが冬の間は下のトイレは床掃除で水を使えないらしい。床が凍ってしまうそうだ。トイレ掃除は清掃中のスタンドを表に立てて淡々と進んで行った。

(交流先:富士清掃サービス)

・階段を振り返る
ゴミ拾いの担当者は内回りと外回りがあって決まったフォーメーションとルートがある。下り階段を通るは下りきったところで後ろを振り向きゴミの見逃しがないかチェックする。

・砂場のおもちゃ
誰も使っていないおもちゃが砂場の内側や外側にある場合は砂場の縁におもちゃをならべておく。というようなルールがあるようだ。

・日誌と鎌
休憩中に少しだけメンバーに声をかけて色々聞いてみた。話題の中心は公園のある1か所の草を鎌でかるべきかどうか。ゴミ拾いがてらその場をすでに確認済のメンバーは鎌で刈るほどではない程度の伸び具合というような意見だが、メンバー達は真剣にその草について相談し続けている。目立つ雑草のない今の時期ならではの議論のようだ。なぜこの草の話は議論されているかというと、前日の日誌に書かれていたメモ(?)の中に鎌の使用についてあったそうで、ちゃんと鎌も準備されていた。清掃が終わったあと、私は一人でその場所に行ってみたが、どの草の話だったのか、その草を刈ることになったのか今回は刈らないことになったのか私には分からなかったが、その場はとてもきれいに整っていた。

・富士清掃のメンバーからきいた季節でかわる地面の様子
散策路の掃除も季節によって内容が変わる。地面に変化があるからだ。春は桜の花びら、夏は暑さの中で草との戦い、秋は落ち葉、冬は落ち着きはするもののティッシュなどのゴミが増えてくるとメンバーの一人が言っていた。ちなみにメンバーは返事だけをぽつりとしてくれる人、積極的にしゃべってってくれる人と様々。

© Arts Council Tokyo