活動日誌

TURN-LA TOLA紀行 -エクアドルの政治や文化について

2018.7.5

TURN運営スタッフ

昨年発足したモレノ政権に対するデモが街中で頻繁に行われている。前コレア大統領の後継者として就任したが、当選後、これまでのばらまき政策による財政赤字や汚職などの発覚を受けて国家運営を批判したため、国民からの批判を受けているのだそうだ。

エクアドルでは、公立の大学であれば無料で進学できる。入学試験はあるが、教育環境が比較的整っているキト市内の生徒であれば非常に難しいというわけではない。しかし、キト以外の地域に暮らす教育を十分に受ける環境にいない生徒たちにとっては入学が難しく、格差が生まれているという。

ラ・トラから徒歩10分ほどの隣接する旧市街地には、劇場や文化施設も存在する。キト市全体でいうと、中央と中央北部は人々の文化的な関心は高いが、北部や南部は低いそうだ。そのため、アーティスト集団で今回のTURN - LA TOLAプロジェクトをサポートしてくれているAl Zur-ichは南部を中心に活動している。(Zur-ichは、「南っち、南ちゃん」といった意味だそう)
ラ・トラから徒歩10分ほどの隣接する旧市街地には、劇場や文化施設も存在する。キト市全体でいうと、中央と中央北部は人々の文化的な関心は高いが、北部や南部は低いそうだ。そのため、アーティスト集団で今回のTURN - LA TOLAプロジェクトをサポートしてくれているAl Zur-ichは南部を中心に活動している。(Zur-ichは、「南っち、南ちゃん」といった意味だそう)
 「エクアドル全体では、まだまだ文化や芸術そのものの重要性が認識されておらず、表現したり、文化にアクセスしたりできる選択肢も非常に限られている」と、エクアドル中央大学美術学部長のハビエルさんは言う。また、「大西さんはラ・トラで身体パフォーマンスをもとに活動している。交流の初期はやり取りの難しさを感じたが、プロセスを経て、現在はコミュニケーションの方法や人への溶け込み方がとても良い雰囲気で行われており、成果を感じている」とも称賛してくれた。

ラ・トラは今、治安悪化に対する打開策としてのジェントリフィケーションをはじめとする街の再開発による、地元住民との摩擦が課題となっている。地域課題を抱えるこのようなまちのなかでは、パフォーマンスや表現で、より風通しのよい健全なまちにできないかというのがハビエルさんの思いである。また、ラ・トラの治安の問題は、国から支えを得るのが難しいことにも起因する。中央部には位置するが、郊外に近い周辺地域なので、国からの支援が得られないエリアになり、セキュリティも不十分な状態が続いているとのことだ。

こうした課題は、アーティストのガブリエルさんの発言ともつながる。中央部の人口が増え居住地に余裕がなくなった今、人々は移動を始めている。低所得者層は、工房や職人雇用がある南部へ。高所得者層は、北部へ。その他の大衆層は、ラ・トラ地域に移住する人が増えているのだそうだ。10年ほど前までは、夕方以降は地元住民でも外を歩けないほど治安が悪かったが、公園をつくったり、警察を増やしたりという施策が少しずつ試みられ、十分ではないものの治安は改善に向かっているという現状を知った。

元々山であった地形が見て取れる急斜面を登っていくと出会う、ラ・トラ地域のカラフルな家々や売店の気さくな人たち。まちの課題がまだまだあると聞く一方で、その場所にアーティストや大学の専門家たちがあえて介入し、文化センターや博物館を活用しながら新たなまちの表情を創っていこうとする試みに耳を傾け、受け止めて協力する人たちもいる。ささやかな実践が、少しずつどのように展開し地域に根ざしていくのか。アクションが継続していけば、また数年後は新しいエネルギーが感じられるまちになっているのかもしれない。