活動日誌

頭上のきらきらしたオレンジ色のクモの巣と地面の見間違い

2018.7.17

岩田とも子アーティスト

富士清掃サービスでは、屋外の掃き掃除や病院などの多くの施設の清掃業務を障害のある方達が行なっている。私は、街中の公園清掃に参加することになった。

【富士清掃サービス清掃活動参加 1日目】
清掃作業の合間の休憩時間。葉が生い茂った桜の木の下で日照りを避けてベンチに座る。ふと上を見上げると葉の隙間がキラキラとオレンジ色に光っていた。細かなクモの巣だ。連日の猛暑日。公園の清掃は暑さで集中できないのではないか、と不安もあったが、公園を覆う木々と暑さを吸収する土の地面のおかげもあって、思っていたよりも快適で心配するほどではなかった。

今日は、富士清掃サービスのメンバーさんと一緒に忠生公園での清掃作業に参加させてもらう初日だ。今回のレポートでは印象的な瞬間を中心に一通り流れに沿ってまとめてみたいと思う。事務所での朝会は9時からと聞いていたので準備時間も踏まえて30分程度早めに伺ったのだが、朝会をする部屋には多くのメンバーさんが作業を着て既に集まっていた。時間を勘違いしてしまったかと焦ったが単にみなさんが早く集まっていたということだった。私も作業着を借りて準備をした。事務所に来るのは3回目だが作業の参加は初日ということで私は少し緊張して硬い笑顔になった。緊張するとそんなふうに顔にでてしまうのだが、朝会でメンバーさんたちの輪の中に入ると自然とその表情が解けた。はっきりと理由はわからないが漂っているリズムが多様であるせ
いかもしれない。

朝会を終えると公園に移動。前半はトイレ掃除。私はベテランのメンバーさんと組んで広場に近いほうのトイレを担当することになった。まずは箒やブラシやモップなどの七つ道具を倉庫から出して確認。それらを順番に使っていく。水で全体を流して消毒し水をある程度きり、最後にモップがけ。一通りおえたあとはすぐにタイルが乾いた。気づくとベテランさんも私もそこそこ汗をかいていた。使う道具、その順序、トイレ掃除が終わると一旦ここで休憩。

休憩の後、今度は園内のゴミ採集。長靴から作業靴に履き替えてゴミ拾い用のトングとゴミ袋を持って公園を一周する。地面を見ながら、「あ、紙ゴミだ」と思って近づくとそれは鳥の白いフンだったり。同じ見間違いを一緒に回ってくれたメンバーさんもしていた。毎日毎日ゴミ拾いされているだけあってゴミはあまりない。タバコの吸い殻かな、と思ったら小枝だったり。タマムシの甲殻の欠片が落ちていたがそれは最初からタマムシとわかった。逆に「これはキャンディの袋のゴミに似ているなぁ」などと想像してみたり。

半周をすぎたあたりで休憩時間がやってきた。ちょうど折り返し地点。公園内でも一番開けた場所で頭上に大きな橋。大きな風穴のようになっている場所だ。そこにあった小さなベンチには、近所から涼みにやってきた人が座っていた。時々気持ちのいい風がそこを通り抜けていくらしくそれが来るのを待ってるそうだ。メンバーさんはそのご近所さんと軽く静かに涼をとっていた。その間、私達は少しだけ言葉を交わした。この風穴が何回か大きく静かな呼吸をしたところで私達は引き返しながらまたゴミ拾いをはじめた。途中、鳥の羽を拾った入所者さんは、一瞬だけ考えてそれをゴミ袋にいれた。ふわふわした羽には塵ゴミがついていて確かにちょっと汚くみえたからかもしれない。それまでのゴミの分別 は私とメンバーさんではほとんど一緒だったがこの羽だけが違ったな、などと感心しつつ残りの半周を終えた。

これで忠生公園での清掃活動を終了しまた車で移動して事務所に戻り今度は日誌を書く。私が参加したことなども細かく。

録してもらった。

次回は8月だ。

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