活動日誌

アプローズ南青山のある一日 2020/1/22

2020.1.22

井川丹アーティスト

交流先│

  • アプローズ南青山

今日は初めてアプローズ南青山さんへ訪問。
ここは「知的・精神障害や発達障害のあるスタッフさんが、お花を通して働く技術や知識を習得し実践している場」。※
午前11時、少し緊張しながらドアを開けると、明るい室内に作業する皆さんの集中力が満ちています。

職員さんから簡単な説明をうけ、早速作業を見学させてもらいます。
お花をいける仕事、パッケージや素材の準備、様々な事務作業・・・
それぞれの仕事を本当にていねいにされているのが一目でわかります。
時折きこえる、お花の茎を切るシャッキッという音が心地いい!

午後からは私もフラワー・ボックスをつくる作業に混ぜてもらいます。
まずはオアシス(お花をいけるための給水スポンジ)を箱のサイズに切って、そこへひたすら垂直に花材を挿す練習。
言葉にすると「お花が真上を向くように挿す」だけなのですが、実際にやってみるとこれがなかなか難しい。
1本ずつ違う茎の曲がり方に合わせて、角度を調節しつつ花材の高さを揃えて。
挿す時にある程度の力は必要だけれど、やわらかい茎をつぶしてしまわないように。
一見、単純作業のようでいて、実は繊細で根気強い作業が求められます。

少し慣れてきたところでいよいよボックス・アレンジへ挑戦。
職員さんからは「誰にどんなシーンであげるのかをイメージして」というお題が。
午前中にスタッフから教えてもらった配色のコツも意識しながら作業を進めます。
気付けばあっという間に小一時間が経過・・・
作業中にほとんど話し声が聞こえない理由がわかります。
最後に、どんなテーマでアレンジをしたのかみんなで種明かしをしながら鑑賞タイム。
同じ花材を囲んで作業したのが信じられないほど、みんな印象の違うアレンジでした。

「そろそろ片付けましょう」の号令と共にお掃除がスタート。
誰がどこを掃除するのかをきちんと分担して、みるみる内に床やテーブルがきれいになっていきます。
帰る前には、今日制作した商品を並べ撮影会。
職員さんからワンポイントアドバイスをもらったり、スタッフさん同士で感想を言い合ったり、
にわかに空気が華やぎます。
このあとお花たちは、それぞれのお客様の元へ届けられるそうです。

この日作成したフラワー・ボックス。私は「アプローズさんはじめまして!」の記念に自分へ。

メモ:
一際大きなアレンジメントを制作中のグループでは、花瓶のお花とフラワーアーティストでもある職員さんが描いたイメージ・スケッチと、交互に睨めっこしていました。
同じスケッチと花材を使用しても、もちろんいける人やお花の個性などによって出来あがりが異なり、その揺らぎもアレンジメントの魅力なのだそう。
これは楽譜(作曲家)と演奏家の関係ととても近い!

※アプローズ南青山では、支援員を「職員」と呼び、通所されている方を「スタッフ」と呼んでいます。

© Arts Council Tokyo