活動日誌

10/21 クラフト工房La Mano 「手のプロジェクト vol.4」実施レポート

2018.10.22

TURN運営スタッフ

10月21日(日)に実施した、町田のクラフト工房La ManoによるTURN LAND「手のプロジェクト Vol.4」。TURN運営本部のスタッフよりレポートをお届けします。

スペイン語で「手」という意味を持つ「La Mano」を工房の名前にしているように、La Manoでは普段の活動でも「手仕事」を大切にしています。TURN LANDの一環で実施している「手のプロジェクト」でも手仕事を大きな軸として、畑作りから始まり、種を蒔き、季節の移り変わりを感じながら綿を育て、それを紡いで一本の糸を作るまでをプロジェクトとしています。そして今回はいよいよ、5月に種を蒔いた綿の収穫と糸紡ぎです。

前回7月に間引きした際には、根っこを傷つけてしまったり、うまく植え替えができずに弱ってしまったものもあり、その後どうなったかなと気になっていた綿畑。8月のTURNフェス4の時期には、無事に花が咲いたと施設長の高野さんから伺い、ホッとしていました。今回は綿の収穫ということで、ワクワクしながら参加者のみなさんと畑に向かうと、いくつもの白い綿花が!十分に開いた綿花の房をそっと引っ張ると、するりと抜けて取れます。ふわふわとしたその感触を楽しみながら、それぞれ収穫した綿を母屋に持ち帰りました。

お昼ご飯をはさんで、午後は糸紡ぎ。今回収穫した綿は乾燥が必要なため縁側に干しておき、事前にLa Manoのメンバーさんが収穫してくれていた綿を使いました。綿の中にはいくつもの種が入っているので、まずは手で取り出します。小さなゴミも取り除きながら柔らかくなるようにほぐし、専用のブラシで繊維の方向を整えます。それを棒にクルクルっと巻いてから、スピンドルというコマ形の道具を使って糸を紡ぎます。グループに分かれて、La Manoのスタッフの方や糸紡ぎの経験のある方に教えてもらいながら、それぞれの工程に取り組みました。

「観察していると、作業しながらお話ししたりできる人と、作業に没頭する人の2タイプに分かれて面白いね」と言うアーティストの五十嵐さん。前回糸紡ぎにハマって家でも練習してきた中学生の男の子や、黙々と作業する人、作業を休んでお庭のお散歩に出かける親子、糸紡ぎは難しく他の作業に楽しさを見出す人、などなど。それぞれのペースで思い思いに作業に向き合う様子が印象的でした。

今回は、これまでで最多の30名ほどが参加。回を重ねるごとに、La Manoのスタッフの参加が増えてきたり、前回の参加者が家族や友達を連れてきたり、町田の他の施設で働く人がきたり、少しずつ「手のプロジェクト」を通したコミュニティが広がっていくのを感じます。参加者からは、「色々な作業を通して、何が自分に向いていて、何が苦手かということを感じた。糸を紡ぐという行為が自分自身と向き合う時間になった」というコメントや、「手を動かしながらだと、自然と周りの人とコミュニケーションできた」などの感想が出ました。

La Manoの高野さんからは、「今日のみなさんの過ごし方は、みなさんの思う理想のLa Manoなんだろうなと思いました。普段のLa Manoはもっと忙しくて騒がしいです(笑)」という感想も。平日は製品づくりという仕事の流れがあり、効率を優先せざるを得ないこともあります。週末の施設で行うこのプロジェクトでは、生産性は一旦置いて、日常では忘れがちな「手」を動かすことや、その作業を通して身近にある衣食住などに思いを巡らせるための時間を、ゆっくり丁寧に味わうことができます。そしてそれは、いつも施設にいる人たちにとっても新鮮で、改めてLa Manoの魅力を再発見することなのだと実感しました。


次回Vol.5の開催は12月16日(日)を予定しています。その後、1月のVol.6が終了したら、3月にまた畑作りからスタート。1年のサイクルが終わり、また次のフェーズに入ります。今回収穫した種を、また春に蒔けたらと思っています。

NPO法人Art’s Embrace 岩中

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