活動日誌

「みかんへダイブする」

2019.7.10

今井さつきアーティスト

交流先│

  • 放課後等デイサービス みかんの木

今日は現在の場所にあるみかんの木の、最後の交流日。

前回に続いて今月引越しをする、みかんの木の施設内の壁に描く。今回は前回より描くツールを色々と持参して臨んだ。そして今日は最後ということで、いつもより活動の時間を長くしてもらい、皆で描くことに。

色々持参してみたけれど、どうなるかなといざ始まるまで内心緊張していた。でもそんな気持ちは楽しそうに描く子供たちの姿を見て一気に晴れた。

普段は皆の行動を見ながら気を遣ってる子が、ずーっと描いていて「壁に描くのが楽しい」て言ってくれたり、前回描いたサインを見て、僕のサイン消さないでね!て話してた子が、自分で夢中になりすぎてそのサインを消しちゃったり、ポンポンと叩きながら描いた子は、叩いたタイミングで合いの手の掛け声を言っていたり、スタッフさんと一緒に描いた後に、終わりかな〜ってスタッフさんが少し離れた隙に一人で壁にスポンジ押し当てて描いてる子がいたり、そんな皆の楽しそうな姿を見たからか、はじめは、「やらない!」て言ってた子が、「やる!」て言いだしてくれたり。

楽しさって伝播していくんだなと、改めて実感した。

今回はローラーのヘッドを色々と作ってきたけど、一番人気なのは柄が長い市販のお風呂掃除のブラシで、地味に悔しかった、ふふ。

子供たちを普段見ているスタッフさんたちが、あの子があんな風な表情珍しい!と驚く一面もあった。
ほんの少しでも子供たちの楽しさや驚きになったのだろうか。

私といえば驚きだらけで。
今まで自分の作品を平面として作ったこともなく、ましては絵を描くなんて経験がなかったから、はじめは壁をもらってどうしようかと思った。

人生初めての壁画を描く経験、それを応援してもらうことで描くことへの恐怖心も少しばかり減った。でも最終的にはやっぱり一緒にやるのが好きな性分だから、子供たちに一緒に壁画をやってもらうことになった。

興味あるのかなあ、どんなので描くんだったら興味持ってもらえるかな?と考えるのは、いつもの制作の思考に似ていたりして、自分の制作と少し違う島に来たような感覚が、皆と仲良くなることで、皆と一緒に船に乗って違う視点から自分の島を見るような、その後自分の島に戻って来たような不思議な感じ。

出来上がっていく絵は自分の当初の想定とは全然違う方向には行けども、子供たちの生き生きした姿を見れたのでそれもよしと思える自分がいた。

結局は全部繋がっていて。作品を作る時も、人と関わる時も、いろんな要素が蓄積されたり重なり合ったりする中に自分がダイブして、溺れて、船を見つけて、漕ぎ方考えて、風向き感じて進んでいくような、時おり遭難するような、そんな中で色んな直接的じゃないことを、ふと思い出したりする。今日の出来事は理論的にというより、そういう時にでてくる感じがする。

そんな荻窪みかんの木に行くのは最後かと思われたのだけど、子供さんの一人から、荻窪みかんの木最終日に開催するオールスター感謝祭(と、その子は言っている笑)のチケットをいただいたので参加する予定です。
余った壁に施設長が私達に触発されて壁画を描いてくださるそうな⁉︎ 楽しみにしてます〜。

© Arts Council Tokyo