活動日誌

クラフト工房La Mano「テレ手のプロジェクト2021―綿花から糸へ..―」vol.1開催レポート

2021.6.16

■ 春の恒例 綿の種蒔き

東京都町田市にある障害のある方の作業所「クラフト工房La Mano(ラマノ)」で行っているTURN LAND「手のプロジェクト」。アーティストの五十嵐靖晃とともに「手」にまつわる行為や所作、表現に着目し、さまざまな人たちと一緒に一から畑を耕し、綿づくりを行っています。

2020年度からは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、オンラインでつながる「テレ手のプロジェクト(以下、テレ手)」を実施。綿を育てることを通して、ラマノや他の参加者とつながったり、季節の移り変わりに触れたりする時間を共有してきました。

2020年度の活動のアーカイブはこちら

2021年5月15日に開催した今年度1回目の「テレ手」の活動では、綿の種蒔きを行いました。昨年同様、ラマノから送る綿の種をラマノと参加者の自宅、それぞれの場所をオンラインでつなげながら、同じ日の同じ時間に種を蒔きました。

■ 参加者に「手」にまつわる話を聞いてみた

イベント当日は、天気に恵まれ、画面越しに見えるラマノのお庭も初夏の日差しに包まれ気持ちがよさそうでした。

まずは、参加者の自己紹介。「テレ手」に参加したきっかけに加えて、「あなたが触れて心地のいいものは?」という手にまつわるエピソードをお互いに共有するところから始まりました。

昨年からの参加者の一人は「自分よりも家族の方が、いつの間にか綿の栽培に力が入り、綿に名前を付けて可愛がっていた」というエピソードを紹介してくださいました。また、この方にとっての、手で触れていて心地いいものは「猫」とのこと。

他の参加者からは「料理が好きで、ハンバーグのひき肉をこねるときの手触りが好き」という話や、藍染の液体、毛布など、それぞれにとって触れていて心地よい手にまつわる話が語られました。なかには「私も毛布の手触りが好きです」「猫を触ると私も落ち着くんです」と参加者同士で共通点を見つけるきっかけにもなりました。

ラマノ施設長の高野さんからは「それぞれの手にまつわる話を知って距離が縮まった感じがしました。今日、出会った人はお名前だけでなく、猫の手触りが好きな●●さん、毛布の手触りが好きな●●さんといった形で、覚えることができました」とコメントがありました。

■ 各地で綿の種蒔き

手にまつわる話で交流を深めた後は、いよいよ種蒔きです。プランターや畑に1cm程度の穴を開け、15時を迎えるとそれぞれの場所で一斉に種を蒔きました。

綿の種

種蒔きの後は、和綿の栽培や手つむぎの指導をしているTokyo Cotton Villageのトミザワさんがビデオで出演し、綿の育て方のポイントをレクチャーいただきました。種を植えた後は定期的に水やりをするなど、日ごろから綿に目を向ける大切さについてのお話に、参加者が真剣に耳を傾けている様子が伺えました。

■ 発芽の報告!

種蒔きから1週間後、ラマノの畑をはじめ、少しずつ発芽の報告が届きました。
参加者の栽培の様子は、Instagramの「#lamano手のプロジェクト」というハッシュタグを使って共有しており、ラマノのウェブサイトからもご覧いただけます。

ラマノから種が届き、それぞれの場所で綿を育てる「テレ手のプロジェクト」の活動も2年目。今回は種蒔きをきっかけに、各自の手にまつわる話を知る時間となりました。

これから秋の綿の収穫を目指して、参加者が綿とともにどのような時間を過ごしていくのか楽しみです。

© Arts Council Tokyo