東京都町田市にある障害のある方の作業所「クラフト工房La Mano(ラマノ)」で、アーティストの五十嵐靖晃さんとともに行っているTURN LAND「手のプロジェクト」。「手」にまつわる行為や所作、表現に着目し、さまざまな人たちと一緒に畑を耕し、綿づくりを行っています。
今年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、ラマノに集う交流の形からオンラインを活用した「テレ手のプロジェクト」、通称「テレ手」の活動を開始。参加者がそれぞれの家の庭やプランターで綿を育て、綿の成長の様子や気付きを共有してきました。
今回は、8月に実施した「綿の身体測定」と11月の「スピンドルづくり」の様子をレポートします。
■ 種を蒔いて93日目。綿の身体測定!(2020年8月「テレ手のプロジェクトvol.3」)
夏真っ盛りの8月15日。種を蒔いた日から数えて93日目。この日は「綿の身体測定」と題し、参加者全員でそれぞれの綿の成長をさまざまな観点から測定しました。
測定した項目は、背丈、茎の太さ、葉っぱの数、葉っぱの大きさ、花の数。
一つひとつ比べてみると、背丈が高いからといって花の数が多いわけではないことや、背丈の大小で葉っぱの数に大きな違いがないことなど、それぞれの特徴がみえてきました。
五十嵐さんからは、新型コロナウイルス感染症の流行で行動が制限されている自分たちとを重ね合わせて「今のように止まっていることで、星の動きや風が吹いていることなど、新たに気づくこともある。それは植物的な視点かもしれない」といったお話があり、綿を身近に育てることを通して、世界の見え方が変わった気がしました。
■ 綿の収穫と糸紡ぎにむけた準備(2020年11月「テレ手のプロジェクトvol.4」)
秋を迎え、参加者の家の庭やプランターでも少しずつ収穫がはじまった11月8日。4回目の「テレ手のプロジェクト」を開催しました。
この日は、綿花から糸を紡ぐための「スピンドル」づくりをオンラインで実施。ラマノから届いたスピンドルのキットと、ダンボールやコースターなど参加者の自宅の身の回りにある素材を組み合わせて、オリジナルのスピンドルをつくりました。
和綿に関するアドバイザーとしてお招きしているTokyo Cotton Villageのトミザワタクヤさんに教わりながら、糸紡ぎにもチャレンジ。トミザワさんが行うと、ふわふわの綿がみるみると一本の糸になっていきます。しかし、いざ実際にやってみると難しい。苦戦している参加者の様子も見られましたが、それぞれ真剣な眼差しで綿と向き合う様子が印象的でした。
参加者が糸紡ぎに取り組む中、五十嵐さんとトミザワさんは、糸を紡ぐことについて、会話を広げていきます。
トミザワさんは、糸を紡いでいると考え事がはかどるようで、普段紡ぐ時は外からの情報を止めて自分の頭で考える機会にしているとのことです。他にも、糸紡ぎがうまくいかない時、イライラしている自分に気付くなど、紡いだ糸に自分の内面が現れることもあるそうです。
二人の会話に耳を傾けながら行う糸紡ぎについて、参加者からは「ラジオ聞きながら作業しているみたい」と好評でした。その他、「もっと糸つむぎを上達したい!」という声や、「普段着ている衣類が、こんな仕組みでつくられているんだ」といった感想が寄せられました。
自分の手でモノをつくり、普段とは異なる時間を過ごすことで、気づきの多い時間となりました。
【プロジェクト概要】
「テレ手のプロジェクト2020 Vol.3 ―綿花から糸へ..―」
開催日時:2020年8月15日(土)14:00~15:30 [オンライン開催]
「テレ手のプロジェクト2020 Vol.4 ―綿花から糸へ..―」
開催日時:2020年11月8日(日)14:00~15:30 [オンライン開催]
今後の参加者の募集については、本ウェブサイトやTURN公式facebookページをご覧ください。
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