活動日誌

気まぐれ八百屋だんだん「クイズ!つつむんば〜『ひらく』ための『つつむ』ってなーんだ?〜」開催レポート

2021.12.24

TURN運営スタッフ

東京都の大田区蓮沼にある気まぐれ八百屋だんだん(以下、だんだん)は、こども食堂や寺子屋など地域に根ざした活動を行う、コミュニティ八百屋です。2017年度からTURN LANDとしての活動をスタートし、2020年からは芸術探検家の野口竜平さんとともに、だんだんを拠点に町に繰り出す「町にでるんば」などを開催しました。

■ 「町にでるんば」の次は、「つつむんば ひらくんば」

今年度の活動は「つつむんば ひらくんば」。新型コロナウイルス感染症の拡大により、集まることや移動することが社会的に制限されるようになった状況の中で考えた企画です。ひらくか、とざすか、と二元的に考えるのではなく、その間にある割り切れない物事に目を向けることから活動を再開するために「つつむ」というキーワードが生まれました。
そして、「つつむ」をキーワードに、野口さんがだんだんのある蓮沼に通い、だんだんに集まる人や近隣の施設の人たちとワークショップを行いました。

その活動の映像記録をもとにTURN LAND「クイズ!つつむんば~『ひらく』ための『つつむ』ってなーんだ?~」をオンラインで開催しました。

■ 11月13日(土)「クイズ!つつむんば~『ひらく』ための『つつむ』ってなーんだ?~」

秋晴れの土曜日の午後、だんだんから「クイズ!つつむんば」を配信しました。事前にだんだんから“あるもの”をつつみ、だんだん周辺の3つの施設(ステップ夢、池上福祉園、HANPAはすぬま)に届け、そこで実施したワークショップの様子と、「つつむ」にまつわる豆知識をクイズ番組風にまとめた映像を見ながら、一般参加者と一緒に「つつむ」と「ひらく」について考えました。

まず、これまでのTURN LANDの活動について、だんだん代表の近藤さんから紹介。続いて野口さんから今回の趣旨と「つつむ」と「ひらく」について語られました。

野口さん:人は贈り物をつつむときに、気持ちや想いを一緒に込めたり、優しくつつまれることに安心したり、ほっこりした気持ちになることがあります。そして、つつまれたもの、見えないものに出会うときに、ここではない世界のことを想像することができます。このようなことを今回の企画でも大事にしたいと思いました。

クイズの説明をする野口さん。参加者は布につつまれながらクイズに参加し、正解がわかったときの合図に、つつまれている布をひらくというアクションをしました。

■ 第1問「だんだんから、つつんで届けたものは何でしょう?」

映像には、大きな紙に包まれた“あるもの”を乗せたリヤカーがだんだんを出発した様子が映し出され、「だんだんから、つつんで届けたものは何でしょう?」というクイズが出題されました。参加者からは「教科書かな?」「着ぐるみでは?」といったと回答があったものの、答えは映像を最後まで見てのお楽しみに。

リヤカーで“あるもの”を届ける様子と、答えを考える参加者の様子

野口さんが最初に訪問した施設は「ステップ夢」。ステップ夢は、アルコール依存症や精神疾患がある人を主な対象として作られた社会復帰・社会参加の訓練施設です。そこでは、施設の利用者さんやスタッフの方々と、大きな紙につつまれながらいつもと違うコミュニケーションをするという試みを行いました。

大きな紙につつまれるという体験をした人からは、「紙につつまれると、守られているような安心感があった」「非日常な活動がおもしろかった」といった感想があがりました。

続く映像では野口さんが「池上福祉園」を訪問。池上福祉園は、知的障害がある人が地域の中で自立した生活を営むことができるように支援を行っている生活介護施設です。そこでは、利用者のみなさんと粘土や折り紙などを使って、手をつつんでひらくワークショップを行いました。手でつつんでひらく行為を通じて、身体と心によるコミュニケーションが交わされました。

最後に野口さんが訪問した場所は、本の読める貸し部屋「HANPAはすぬま」です。ここでは、「HANPAはすぬまの吉井さんが大事にしていることは何でしょう?」というクイズが出題されました。その答えは「間(ま)」。吉井さんが心地よい居場所をつくりたいと考える中で行き着いた言葉が「間(ま)」だと言います。

HANPAはすぬまの吉井さん(左)と参加者の様子
クイズの中には、「つつむ」にまつわる豆知識なども

■ 「だんだんから、つつんで届けたもの」とは・・・

3つの施設を巡り終え、最初の問題「だんだんからつつんで届けたものは何でしょう?」の答えが野口さんから発表されました。その答えは、なんと「椅子」!だんだんやHANPAはすぬまなどが行っている「みんなのイスプロジェクト」という“椅子を置くことで町の人たちの小さな居場所をつくる”というコンセプトが今回の企画にも繋がっていたのでした。

椅子にはだんだんのボランティアの人たちが絵を描きました。 (下2枚)撮影:小宮りさ麻吏奈

クイズは全部で12問が出題され、終了!人の思いや「つつむ」について考えが深まるさまざまなクイズの出題と参加者との応答が繰り広げられました。最後に近藤さんと野口さんから今回の企画に関して、このような言葉が語られました。

近藤さん:1つの世界ではなく、色々な人たちと繋がっていくことが大事なことだといつも思っているんですけど、この活動を通して近隣の皆さんと繋がったことで、これからももっと広がっていく可能性を感じました。また、日頃はあまり考えない「つつむ」や「ひらく」について考えることで、ちょっと人にプレゼントを贈るときに想いを込めてみたり、ラッピングを工夫してみたりすると楽しいのかなと思いました。

野口さん:つつむというアイデアを持って町に出てみたら、色んなことが見えてきたような気がします。つつむを通して生まれたものっていうのが、ただ会いに行くよりも豊かな気がしました。

参加者からは、「ブランケットに包まれながら参加して暖かかった。包まれている身体感覚が考え方に影響すると思った」、「活動を追体験するような感じがあって、臨場感があって面白かった」、「だんだんや蓮沼、池上地域での繋がりを楽しく体験できた」などの感想が寄せられました。

「つつむ」というアイデアによって、これまでと違う形でだんだんがひらかれ、地域や参加者と繋がる機会になりました。
「つつむんば ひらくんば」の活動の様子は、後日、だんだんが発行するアーカイブ冊子にも掲載される予定です。お楽しみに!

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