大田区にある気まぐれ八百屋だんだん(以下、だんだん)は、こども食堂や寺子屋など地域に根ざした活動を行う、コミュニティ八百屋です。2017年度からTURN LANDとしての活動をスタートし、「おとな図鑑」や「だんだんHEKIGAプロジェクト」など、学生ボランティアと一緒に活動を行ってきました。
9月27日(日)、気まぐれ八百屋だんだんが TURN LANDの一環として「記録のための勉強会『いなかった人に伝えるんば』」をオンラインで開催しました。
今回の勉強会は、9/20(日)に開催したTURN LAND「第1回 町にでるんば」のようなイベントで経験したこと・感じたことをその場にいなかった人に伝えるには、どのような方法があるのかを実践的に学ぶ場です。講師にお招きしたのは、デザイナーの鈴木健太さん。鈴木さんはデザイン制作や舞台作品に関わるほか、「人の記録に関する展示」などさまざまな活動を行っています。
勉強会の前半は、「第1回 町にでるんば」を事例としたレクチャー。「町にでるんば」は、アーティストの野口竜平さんがだんだんを拠点にリヤカーを引きながら町の中を巡り、町や人に出会い、その経験や気づきを参加者が共有するという企画でした。
今回の講座では、「町にでるんば」で町を巡ったときの映像や歩いた道で拾ったものなどを素材に、鈴木さんが出来事を記録する上でのポイントや姿勢について語りました。
特に印象に残ったのが、「町にでるんば」で野口さんが辿ったルートや、どこでどんな行動をしたかなどを俯瞰的に眺めることができる「ルートマップ」です。
ルートマップには、野口さんが人に声をかけた場所などが記載されており、その場にいなかった人も、そこで起きた出来事を想像できる記録となっていました。また、ルートマップと写真を合わせて見ることによって、他者の出来事を想起するきっかけになっていました。
鈴木:写真のみを見た時と、ほかの記録を一緒に見た時で、印象が違うと思うんですよね。「ただ、にぎやかで楽しいことをやった」みたいになってしまわないように、複合的な記録を残して伝えていくことで、他者がその出来事について考えるきっかけになるんじゃないかと思います。それが記録の一つの役割だと思っています。
後半は、参加者が各自の家の外に出て、「気持ちいい瞬間/場所」を探して、写真と映像、落ちているものから記録するというワークにチャレンジ。鈴木さんから「写真映えするものを撮ることを目標にせず、目立たないもの、影になっているところにも目を向けてみてください」というアドバイスを受けて、参加者はそれぞれ記録を取りに外へ出かけました。
勉強会の最後に、参加者が自分の記録したものにタイトルをつけ、一人ずつ発表。どんな気持ちで撮影したのか、記録する上で工夫した点、難しかった点などを共有しました。
参加者からは「自分の撮りたいと思った瞬間を切りとることが難しかった」「普段目に留まらない風景に気付いた」といった感想が寄せられました。
自分の気持ちが動いた瞬間をどう他人に伝えるか、記録について学びのある時間となりました。
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