活動日誌

ハーモニー「新しい生活様式を送る私たちの実感と人力のスライドショー」開催レポート

2022.1.11

TURN運営スタッフ

11月28日に、ハーモニーでTURN LAND「新しい生活様式を送る私たちの実感と人力のスライドショー」を開催しました。
今回は文化活動家のアサダワタルさんの演出のもと、ハーモニーを舞台にオンライン配信にて開催しました。

ハーモニーの施設に設置した特設会場から配信。背景には、ハーモニーメンバー(※)の皆さんが撮影した写真を展示。左からTURN運営スタッフの岩中、ハーモニーメンバーの金原さん、アサダさん、メンバーの田中さん。
※ハーモニーメンバー:通常ハーモニーでは福祉サービスとして登録し利用している人のことを「メンバー」と言いますが、本レポートでは、TURN LANDの趣旨に賛同しハーモニーに集った人々も含みます。
2台のカメラから会場の様子を配信。

第1部「人力スライドショー」

アサダさんは2021年6月よりハーモニーの活動に参加。メンバーにインスタントカメラを渡し、日常生活で触れたそのものや見たものの撮影を依頼しました。それらの写真とともに一人ひとりのお話を集めてきました。

ハーモニーの壁にずらりと展示された写真。(撮影: 櫻井文也)

今回のイベントでは、メンバーが撮影した写真を見ながら、アサダさんとメンバーによる語りに合わせて制作された「人力スライドショー」を上映。「人力スライドショー」の中には、メンバー一人ひとりの個性が光るさまざまな写真が映し出されました。その写真のいくつかをご紹介します。

公園清掃に向かう途中の、鯉が泳いでいる池や道の風景。
「嵐の前の空を撮りたかった。空を撮ろうとしたら電線が伸びていて、どうしても映ってしまった」とのこと。
「たまにシャンプーをしてもらう美容室」など、自宅の周りの写真をまるで一緒に街を歩いているかのように、一枚ずつ紹介しているスライドショーのシーン。
マイダーツ。「一時期、自分に合った重さのダーツを買って毎晩のようにしており、コロナ禍でもできればダーツバーに行きたいと思っている」とのこと。
「いつも自分の思考が漏れている感じがしている」と語るメンバー。「電線は繋がっているので思考が漏れてしまう気がするが、街灯は独立しているので、街灯の下だと思考が漏れず安全地帯のように感じる」とのこと。

映像の中では、「これはどんなシーン?」「どうしてこれを撮ったの?」といったアサダさんからの投げかけに、写真を撮影したメンバーがエピソードを語り、それによって一つひとつの写真の奥行きが一層深く感じられました。

第2部 視聴者参加型トーク

第2部からは視聴者の皆さんにも参加いただく参加型トークを行いました。一般参加者から事前に送っていただいた写真を見ながら、メンバーの皆さんと会話を広げました。メンバーが入れ替わり立ち替わり登場し、参加者の写真にそれぞれの視点からコメントをしつつ、やりとりを楽しみました。写真と語られたエピソードをいくつか抜粋してご紹介します。

参加者から届いた空の写真を紹介するアサダさん。この写真を送ってくれた参加者にお話を聞くと「雲はゆっくり動いていくと思うのですが、例えば日常生活の中で湯船の蓋を開けた時の湯気などは、かなり早いスピード。近いものはすごく早いけど、遠いものはゆっくりで、僕たちが見ているものと雲の方では時間の流れがちょっと違うんじゃないか、みたいな妄想をしました」とのこと。

続いて、イチョウとブロッコリー弁当の写真。なんと、通常ごはんが入っているスペースにブロッコリーが入っているとのこと!地方のニュースで取り上げられ、コロナ太りの影響を気にしている人も多いのか、このブロッコリー弁当は毎日完売だそうです。ブロッコリーが主役のお弁当に、会場もわっと盛り上がりました。
イチョウは山形県の観光名所で撮られた写真で、コロナ禍で人がいなかったため、いつもより自然を綺麗に感じたとのことでした。

今回のイベントには、前回のTURN LAND「お金をとらない喫茶展3 ~in my brain〜」の喫茶展マスターを務めたテンギョウ・クラさんも参加。テンギョウさんは「人力スライドショー」を見て「いつも自分が会うのは、ハーモニーの施設の中にいる皆さん。スライドショーを通じて、ハーモニーの外で皆が見ている風景が見えて面白かった」と感想を寄せてくれました。

視聴者からは、「ダンボールとプリント写真のセットが楽しげですごくいいですね。端々までつい見てしまいます」「『個別』の記憶や記録をゆるく他者に開くことで、共有されたり、編み直されたりして、『過去の個別のもの』から『今の共有のもの』に緩やかに変化されていくような」といったコメントをいただきました。

最後にアサダさんは、「ハーモニーがどんな場所か知らない方も含め、ハーモニーのメンバー一人ひとりのコロナ禍の日常を表現できたらということで、今回は自分たちで手で動かしなら、写真を通じてリアルな生活について語り合いながらつくったスライドショーを上映しました。参加者の皆さんからも素敵な写真を送っていただき、本当にありがとうございました!」という言葉で締めくくられました。

人力スライドショーや写真を用いたメンバーとのやりとりを通じて、自分ではない誰かの日常を想像しみる、そんな機会になったのではないでしょうか。

後日、「新しい生活様式を送る私たちの実感と人力のスライドショー」のアーカイブサイトで写真やスライドショーの本編映像、外部寄稿者のレビューなどが掲載される予定です。ぜひお楽しみに!

(撮影:櫻井文也)

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